空気圧制御技術とは?

空気を動力源とする空気圧制御技術

空気圧制御技術とは、空気を動力源として、機器を自動化(オートメーション)する技術です。主に人間に代わって働き続ける設備や装置(生産ラインや製造装置、産業用ロボットなど)に組み込まれて利用されています。現在ではあらゆる産業・業種のオートメーション化に貢献しています。
この空気圧を感じられる例は、みなさんの身の回りにも数多くあり、身近なところでいうと車とか自転車のタイヤです。実は、電車やバスのドアの開閉も空気圧の作用で行っています。みなさんご存じのとおり空気は無尽蔵にあり、無害な物質ですから、動力の伝達に使うにはもってこい。クリーンで安全、そしてエコロジーなエネルギーとして我々の身近なところで利用されています。

空気圧をいかにコントロールするか?

そして、空気を動力として使う際に圧縮空気を制御する技術が空気圧制御技術です。
空気圧を使って「押す」「持ち上げる」「つかむ」「運ぶ」「はさみつける」など、様々な動きを実現できますが、 大切なのは「どのくらいの力で、どのくらいの速さで、どのくらいの距離を動かすか」という「制御」です。
空気の圧力そのものの制御に加えて、空気圧で動かす機械の制御も必要で、空気圧を制御することによって最適な動力性能を獲得する必要があります。SMCが得意としている「空気圧制御機器」は、空気の力と流れを利用して人間の代わりに作業を自動化する機械に部品・ パーツとして組み込まれております。

空気圧制御機器を利用した装置

たとえば収穫した果物の大きさや重さを仕分けする自動選果機、自動車の組み立てラインで活躍する組み立てロボットや塗装ロボット、半導体製造装置、各種工作機械、食品の包装、自動車の洗車機など、社会のあらゆるところで空気圧制御機器が組み込まれて活躍しています。ただ残念ながら空気圧制御機器自体は、外部からはなかなか見つけられません。なぜなら産業用ロボットのアクチュエータ(アーム)を動かす筋肉のような役目で使われるのでアームの内部に組み込まれているためです。

空気圧制御機器の原理

空気圧機器の動作原理を簡単に説明しておきましょう。図はエアシリンダという製品で大気を圧縮して生成される圧縮空気が青い矢印のところからシリンダに給気されピストンが動きます。次にシリンダ内から排気されるとシリンダ内の空気の差圧によりピストンが戻ります。ごく簡単で基本的な仕組みですが、この基本的な動きを洗練させ製品を組み合わせたものが自動制御システムです。この自動制御システムは、生産現場(工場)で動く機械に利用されていて、SMCの製品を使用した設備から様々な商品が生み出されています。
SMCは空気圧制御機器の総合メーカーとして基本形12,000種、製品数700,000品目の製品を産業界に提供しています。最近では空気圧制御の高速化・複雑化・微細化が進み、生産設備の電子制御も進んでいることから、空気圧制御機器で培った技術やノウハウを駆使して、さらに電気・電子・ソフトウエアなどの技術を投入して、空気圧制御機器の枠を飛び越えた温調機器、電動機器、高真空機器、流体制御機器など生産設備全般にかかわる製品供給も行っています。

空気圧制御方式と他の制御方式の比較

オートメーション(自動化・省力化)のシステムは、電気・油圧・空気圧の制御方式を利用した機器で構成され、それぞれの特長を生かしてシステムが構成されています。各制御方式は表のような特性があります。

(1)操作性

圧縮空気はタンクにエネルギーを蓄積できるので、瞬時に大きなパワーを発揮でき、出力の維持が容易です。また停電時の非常運転も可能であり、負荷に対してソフトな挙動が可能といった長所があります。媒介となる空気に圧縮性があるため、エアシリンダの精密な中間位置決めや低・高速度の制御といったことが、今後の技術課題となっています。

(2)耐環境性/安全性

媒介となるのが空気なので、万一漏れが発生した場合にも、引火・感電・汚染の危険性がありません。

(3)経済性

構造や保守が簡単で、価格も安価なため比較的容易に自動化システムを構築することが可能です。

このように、空気圧はエネルギーとしていくつも優れた特長があるため、今後ますます利用範囲を拡げていくものと期待されています。

空気圧システムの構成例

コンプレッサ

空気圧システムは、大気を圧縮するところから、最終端で仕事をする駆動機器まで、用途に合わせていろいろな機器を組み合わせてシステムを構成します。代表的なライン構成を見てみましょう。空気圧システムにまず必要なのはパワーの源になる「圧縮空気」。これは空気圧縮機(エアコンプレッサ)で生成されます。

清浄化機器(アフタークーラ、エアドライヤなど)

空気を圧縮すると非常に高温になるため、アフタークーラで高温の圧縮空気を冷却し、圧縮空気をタンク(エアタンク)に蓄え、エネルギーを保存します。また、空気をそのまま圧縮すると大気中のホコリや油分、臭いなども圧縮され、その後の工程の装置にも悪影響を及ぼします(さびや摺動の阻害など)。そのままでは空気圧機器に利用するには不向きであるため、次のステップでは圧縮空気の質の向上を図ります。フィルタを使い不純物を分離・除去しますが、この段階では気体化している水分は除去されていませんので、圧縮空気を冷却してエアドライヤで水蒸気を除去します。

空気圧補助機器(エアフィルタ、レギュレータ、ルブリケータなど)

清浄化機器で処理された圧縮空気ですが、端末に設置された空気圧機器が正確に作動するように、圧縮空気の状態を調整する機器が空気圧補助機器です。フィルタを使い異物を除去し、レギュレータで圧縮空気の圧力を調整します。また、機器の摺動部分がスムーズに動くように、潤滑油を供給します。

方向制御機器(ソレノイドバルブ、メカニカルバルブなど)

次のステップは、圧縮空気のコントロールです。電磁弁(ソレノイドバルブ)は圧縮空気の流れる方向を切り替えて、実際に仕事をする駆動機器の前進・後退の動作を決定します。

駆動機器(エアシリンダ、ロータリアクチュエータ、エアチャックなど)

圧縮空気の作用で、実際に動作(仕事)を行います。空気圧で行う仕事の中には、直線動作を行うシリンダ以外にも、様々な動作があります。ロータリアクチュエータは、設定された角度範囲を右に左に揺動するアクチュエータです。ワークを搬送する際には、ワークを掴むことが必要です。このような動作をハンドリングと呼び、専用のアクチュエータがエアチャックです。